Waterfront

80年代周辺の作品を後追いしています。

「金曜日の妻たちへ」劇中歌・BGM

金曜日の妻たちへ」(1983年・TBS)にてBGMとして使用された楽曲を調べた。

音響効果の担当は下城義行。音楽や選曲などのクレジット記載がないため、恐らくBGMも下城氏による選曲。インストは省略。

 曲名  アーティスト 場面 備考
1~ Blowin' in The Wind Peter, Paul & Mary 主題歌
1~ Puff the Magical Dragon Peter, Paul & Mary
1~ Early Mornin' Rain Peter, Paul & Mary
2~ The Cruel War Peter, Paul & Mary
2 花ぬすびと 明日香 BARコスモス 一人で飲んでいる佳代に神谷が絡む
2 琥珀色の想い出 あみん BARコスモス 玲子の登場
3 せめてからりと晴れてくれ 濱田金吾 BARコスモス 妻達が集合する
3,4,7 Don't Think Twice, It's All Right Peter, Paul & Mary 佳代の登場シーン
3 Hush a Bye Peter, Paul & Mary 病院・中原家
4 ほのかなイリュージョン 濱田金吾 BARコスモス
4 Gone The Rainbow Peter, Paul & Mary ホテルの外 久子がホテルを飛び出す
5~ I Dig Rock and Roll Music Peter, Paul & Mary 中原家 東彦の登場シーン
5 BARコスモス 男達が会話している
5 BARコスモス 神谷とママが会話している
5~ 海を見ていた午後 ハイ・ファイ・セット ドルフィン 中原と英子が食事している
6 氷雨 日野美歌 料理屋 神谷と佳代が食事している
7,14 BARコスモス #7:神谷とママが話している#14:村越と中原が話している
8 BARコスモス 東彦とママが話している
8 Do The Boogaloo Quango & Sparky 玲子の楽屋 村越が玲子を説得している
11 Times They Are A-Changin’ -Live Peter, Paul & Mary つくし野周辺 久子が信一とオートバイでタンデム
14 矢切の渡し 細川たかし BARコスモス 東彦がやってくる

BGMの使われ方は二種類あるようだ。
(1)一般的なBGM (2)劇中の店や施設のオーディオから流れている設定
基本的にPPMの楽曲が前者にあたる。特に表中の最初の4曲は至るところで流れる。後者は国内の音楽が中心だ。かなり音量が小さめに調整されているが、それぞれの曲と流れた場面を照らし合わせると、なんとなく話の進行や場面に合わせた曲を選んでいることが伺える。

Puff the Magical Dragon

Puff, the Magic Dragon

Puff, the Magic Dragon

  • Peter, Paul & Mary
  • シンガーソングライター
  • ¥250
日常シーンでよく使われる"Puff the Magical Dragon"。原曲やPPMを知らなくても、童謡「パフ」を小学校低学年の時に学校で歌ったりリコーダーで演奏したことがあるという人は多いだろう。この曲は本作で描かれたストーリーと非常にマッチしているように感じる。

第1話の終盤に、以降の展開を暗示するかのような久子(いしだあゆみ)の台詞がある。

久子「誰とも別れるのは嫌。英子とも村越さんとも、真由美さんとも、東彦さんとも、誰とも別れるのは嫌…ずっとこのまま居たい」
中原「大丈夫だよ」
久子「死ぬまで、ずっととこのまま居たい」

少年ジャッキーがパフからいつしか離れていったように、久子の「ずっとこのまま居たい」という願いはむなしく、妻と夫たちの関係は変わってゆく。

海を見ていた午後

不倫関係に陥る中原と英子が、ユーミンの曲"海を見ていた午後"に登場する「山手のドルフィン」ことドルフィンで食事をするシーン。
劇中ではギターのアコースティックな音色が印象的な、ハイ・ファイ・セットのバージョンが使用されているようだ。

せめてからりと晴れてくれ

80年代~90年代前半に製作されたこの手のドラマには登場人物たちが毎回のように集まるバー(ちなみに鎌田敏夫の脚本や小説においては『バア』が正式な表記である)が高確率で出てくるが、このドラマでは「BARコスモス」という、着物を着たママが一人で経営しているスナックのような小さなバーが登場する。
そしてこのBARコスモスでは演歌や歌謡曲の他にシティポップも流れる。

個人的に気になったのは濱田金吾の"せめてからりと晴れてくれ"と"ほのかなイリュージョン"だ。どちらもアルバム「midnight cruisin'」(1982)に収録されている。

"せめてからりと晴れてくれ"は離婚において窮地に立たされた英子が珍しく酔っ払って無理に元気に振る舞おうとしている様子と、明るくも悲しい別れの歌詞が重なる。
"ほのかなイリュージョン"は短いシーンだが、バーのママが常連客の男性に佳代について話すシーンに使用されている。

花ぬすびと・琥珀色の想い出

金妻の登場人物は基本的に既婚者の男女が中心だが、1作目では20代前半の女性二人も物語に大きく関わってくる。村越の新しい恋人として登場するモデルの玲子と、中原に執着するOLの佳代だ。
玲子は英子の後釜として村越に紹介されやってきた。いつも一緒に居た3組の夫婦達の日常に波乱をもたらした存在である。当然妻たち(とりわけ真由美)からは厳しめの扱いを受けるが、まっすぐな性格のため、終盤では徐々に他の登場人物たちと打ち解け始める。
一方佳代は、問題を抱えた家庭で育った孤独な女性だ。中原に恋愛感情のような執着心を抱いており、中原や久子たちがいつも一緒に行動していることが気に入らず、何かと介入してくる。結局満たされずにOLを辞め、ホステスとなりパトロンに囲われて生きていくことになる。

この二人は立て続けに登場するのだが、佳代の登場時には「花ぬすびと」が流れ、なんとなく不穏な雰囲気になるが、その後玲子が登場するとBGMは可愛らしい曲調の「琥珀色の想い出」に切り替わる。この2曲は彼女達の対照的な性質を表すような選曲だと感じた。

矢切の渡し

細川たかしのバージョン。なんだかんだで強い信頼で結ばれている東彦と真由美の関係性を表しているようでよかった。


それにしても、7、14話と8話でBARコスモスで流れているシティポップ2曲は誰の曲なんだろう。好きな曲調なのに(女性シティポップに疎いせいもあり)全然割り出せなくて悔しい。